スギハラ・ガイドバーのSTIHL用 3/8"標準機に.325"を流用する場合について

スギハラ・ガイドバーのSTIHL用 3/8"標準機に.325"を流用する場合について

はじめに

大型機への装着は、ソーチェンのドライブリンク数の調整を前提とした 『流用』となります。

同じガイドバーなのに取り付ける機械によってコマ数が変わる理由について

(本機側のリム外径差による適合ドライブリンク数の違いについて)

1. チェンソー本機のスプロケットリムの「外径」の違い

チェンソーの出力(排気量クラス)による本機駆動部に採用されているクラッチドラムに違いがあります。
中型機・大型機ではクラッチドラムの大きさが異なり、それに伴って取り付けられる「スプロケットリム」の大きさも異なります。

  • ・MS 261 クラス(中型機): 標準的なサイズの.325"リムを使用。(.325" 7枚歯)
  • ・MS 362 クラス(大型機): 大型機の高出力に対応するため、クラッチドラム及びリム自体の直径が、一回り大きいサイズが採用されています。(.325"のリムに換装した場合、.325" 9枚歯)

2. なぜ「1コマ」増やす必要があるのか?

ソーチェンは「駆動スプロケット」と「ガイドバーの先端(トップ)」を繋ぐ楕円状の軌道を回っています。
MS362等のような大型機に.325"リム(.325" 9枚歯規格)を装着すると、MS261等で採用されている標準のリム(.325" 7枚歯)に比べリムの歯数が多く直径が大きくなります。その分、リムスプロケットにソーチェンがかかる部分(リム外周長の約半分)の距離がMS261等よりも長くなります。

スチールのMS261とMS362におけるリムの歯数と直径の比較図
出典:スギハラ貿易株式会社(無断転載禁止)

このため、表示のドライブリンク数のままではソーチェンの長さが不足し、ガイドバーはチェンアジャスター(テンショナー)を最大まで縮めてもソーチェンが装着できないか、装着できても初期の張り調整をする余裕がほとんどない状態になります。
この問題を解消するために、標準コマ数に1コマ足していただく事で、ガイドバーが適正位置に収まり、使用可能になります。

同じガイドバーでもリムスプロケットのサイズ差によってソーチェンの必要コマ数が変わる理由を解説。
出典:スギハラ貿易株式会社(無断転載禁止)

3. クラス別適合イメージ

※ST2M-8J49 等の中型機用.325"ピッチのガイドバーの場合

取付機械 項目
MS 261 等(中型機) MS 362 等(大型機)
スプロケット外径 標準(.325" 7枚歯) 一回り大きい(.325" 9枚歯)
ソーチェンの軌道 基準の長さ 基準より長くなる
推奨コマ数 バーの指定通り 指定数 + 1コマ

3/8"仕様から.325"仕様に変更した場合の特徴と具体的な違い

大型機の標準である3/8" 1.6mm仕様から中型機用の.325"仕様へ変更するにあたって、物理的な装着可否だけでなく、実用面で以下の特性の違いを理解のうえ、ご検討ください。

1. 切削の感触と作業負担の変化

.325"ピッチは3/8"ピッチと比較して、同じバー長でもソーチェンの「刃数」が多くなります。これにより、1刃あたりにかかる切削抵抗が分散され、振動が抑えられるとともに、作業者の手にかかる負担の低減が見込めます。
ただし、刃数が増えることは「滑らかな切れ味」に寄与するものであり、必ずしも鋸断(切断)スピードそのものが上がるわけではない点にご留意ください。
※これらの切削感や負担の軽減度合いについては、作業者の技術や切断する樹種、目立ての状態などの条件により異なるため、最終的な使用感は個人の主観によるところが大きい点にご留意ください。

2. ソーチェンの変更に伴う剛性および耐久性の違い

作業目的や環境改善に合わせてソーチェンを 3/8" から .325" へと変更する場合、スギハラ・ガイドバーでは1.6mm・1.5mm・1.3mmといった複数のゲージ(溝幅)の選択肢が生まれます。

特に、1.6mmから1.5mmや1.3mmへとゲージを薄くする変更を行う場合は、以下の物理的な変化に留意が必要です。

  • 剛性
    各ソーチェン規格のアサリ幅に合わせて適切な板厚設計にしています。そのため、ガイドバー本体の「板厚」は1.6mm用と比較して薄くなります。 大型機の高出力下ではねじれやこじりに対して、より慎重な操作が求められます。
  • 耐久性
    ソーチェン自体が薄くなることで、1.6mmと比較してチェーンの伸びやすさや、切削負荷への耐久性に影響が出る懸念があります。
  • 注意点
    高出力機で1.3mm等の薄い規格を流用される際は、パワーに見合った適切な負荷コントロールを行わないと、機材の破損を早める可能性があります。

目的に応じて仕様変更をする際には、メリットデメリットを考慮した「組み合わせ」の選択が重要です。

3. 【最重要】トラブルを未然に防ぐための「規格確認」の徹底

ガイドバーやソーチェンの適合確認において、弊社が最も重要視しているのは、曖昧な言葉を排除し「物理規格の数値」で判断することです。これは今回の流用ケースに限らず、すべての適合確認において共通の基本ルールとして運用しています。

●「標準」や「長さ」という曖昧な表現を排除する理由

「メーカー標準のバー」や「〇〇インチ(cm)」といった表現は、「チェンソーメーカーや型式」「発売時期によるメーカー標準仕様の変更」、等に加え「ユーザー様・販売店様の解釈や記憶違い」といった様々な要因で内容が非常に移ろいやすく、規格が合わないというトラブルを招く最大の原因となります。

特にチェンソー業界における長さ(インチ/cm)の表現は、あくまでおおよその目安となる「呼び長さ」として使用されており、スギハラの長さ表現も弊社独自の設定です。
同じ呼び長さであっても、メーカーが異なれば適合するドライブリンク数が異なるケースは珍しくありません。

<呼び長さとコマ数の違いの例>
スギハラ 16インチ(40㎝) = 66コマ
他社A社 16インチ(40㎝) = 68コマ

このような背景から、弊社ではいかなる場合も以下の『3つの物理規格の数値』を特定・照合する運用を徹底しています。

  • ピッチ1/4" , .325" , 3/8" , .404" 等
  • ゲージ/溝幅1.1mm , 1.3mm , 1.5mm , 1.6mm 等
  • ドライブリンク数ソーチェンのコマ数

※確実な適合確認のため、チェンソーの「メーカー名」および「型式」も併せて確認することを推奨します。

仕様変更を行う場合は、必ず純正標準仕様から仕様変更したことを"ユーザー様ご自身"が覚えておき、次回交換時は標準規格ではなく、実際に装着している「変更後の仕様」で確認して製品調達をするようお願いいたします。

<備考>
スギハラ・ガイドバーではスチール中型機用の.325"のガイドバーは1.6㎜用とそれ以外ではコマ数の刻みが異なります。

  • ・1.6㎜用    :スチール純正のコマ数に合わせて設計しています。
  • ・1.3㎜・1.5㎜用:国産機のコマ数に合わせて設計し、同じコマ数のソーチェンをスチール機でも流用したいという声にお応えしております。

まとめ

STIHL MS 362 ・ MS 500i ・ MS 400 等のクラスでスギハラ・ガイドバーの「STIHL 中型機用 .325"ピッチ仕様」に変更する際は、ソーチェンの長さが「表記のドライブリンク数 + 1コマ」必要ですのでご注意ください。
また、実用面での変化やメンテナンス時の規格管理を正しく理解した上でご使用ください。

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